「フラッシュ暗算に挑戦したいけれど、そろばん未経験だから難しいかな…」と感じていませんか。テレビで見るような驚異的な計算スピードに憧れる一方で、そもそも誰でもできるものなのか、そろばんが必須ですか?という疑問は当然です。また、練習しても意味ないのでは、という不安や、そろばんありの経験者との差も気になりますよね。
この記事では、フラッシュ暗算の基本であるそろばん式暗算のやり方から、頭の中でのイメージ方法、無料アプリを使った練習、自分に合ったレベル設定まで、そろばん未経験者が抱えるあらゆる疑問に答えます。そろばんが得意な子の特徴を参考に、3級レベルの暗算ができるようになるまで何年かかるのか、その具体的な道のりを詳しく解説します。
- そろばん未経験者がフラッシュ暗算を習得するための具体的なステップ
- 珠算式暗算の仕組みと、頭の中でそろばんをイメージするコツ
- 無料で始められるおすすめの練習アプリとその効果的な使い方
- そろばん経験者との違いや、習得に必要な期間の目安
フラッシュ暗算はそろばん未経験でも可能か?

- フラッシュ暗算とそろばん式暗算の関係
- 習得にそろばんが必須ですか?
- 未経験には難しい?誰でもできる?
- 練習しても意味ないという噂の真相
- そろばんありの経験者との大きな違い
フラッシュ暗算とそろばん式暗算の関係
フラッシュ暗算の習得を考える上で、まず理解すべきなのが「そろばん式暗算(珠算式暗算)」との関係性です。
結論から言うと、フラッシュ暗算とは、そろばん式暗算という計算技術を使って行われる暗算トレーニングの一種です。モニターに次々と表示される数字を、頭の中にそろばんを思い浮かべて計算します。
学校で習う筆算式の暗算が、数字を言語として処理する左脳的なアプローチであるのに対し、そろばん式暗算は、数字をそろばんの珠の「イメージ(画像)」として捉える右脳的なアプローチを取ります。このため、桁数が多くなってもスピーディーかつ正確な計算が可能になるのです。
そろばん式暗算の仕組み
数字をそろばんの珠の配置パターンとして記憶し、頭の中でその珠を動かして計算を進めます。例えば「26」という数字は、「二六」という言葉ではなく、そろばんの上段にある五珠1つと下段の一珠1つが置かれた桁と、下段の一珠1つが置かれた桁の「形」として認識します。これが、高速計算を可能にする秘密です。
つまり、フラッシュ暗算が出来るようになるということは、この「そろばん式暗算」をマスターするということとほぼ同義と言えます。そろばん未経験者が挑戦する場合、この新しい計算方法をゼロから学ぶ必要があります。
習得にそろばんが必須ですか?
「フラッシュ暗算をやるには、まずそろばんを習わないといけないの?」という疑問は、未経験者にとって最も気になるところでしょう。
これに対する答えは、「物理的なそろばんの練習は必須ではないが、そろばんの仕組みを理解することは不可欠」となります。
なぜなら、前述の通り、フラッシュ暗算は頭の中のそろばんを使って計算するからです。そのため、そろばんの珠がそれぞれどんな数字を表し、どのように動かせば計算ができるのかという基本的なルールを知らなければ、頭の中でイメージすることすらできません。
ただし、近年ではそろばん本体を使わずに、そろばん式暗算を効率的に習得できるツールも登場しています。
補足:タブレット教材「そろタッチ」
例えば「そろタッチ」という教材は、タブレットアプリ上でそろばんの操作を学び、自然にイメージ暗算へ移行できるように設計されています。これにより、物理的なそろばんに触れることなく、フラッシュ暗算に必要なスキルを身につけることが可能だとされています。
もちろん、そろばん教室に通って基礎から学ぶのが確実な方法の一つではありますが、必ずしも遠回りになるわけではなく、自分に合った方法でそろばんの仕組みを学べば、未経験からでもスタートは可能です。
未経験には難しい?誰でもできる?
結論として、そろばん未経験者がフラッシュ暗算を習得するのは、決して簡単ではありませんが、不可能ではありません。適切な方法でトレーニングを継続すれば、誰でもできるようになる可能性を秘めています。
難しいと感じる主な理由は、やはり「そろばん式暗算」という全く新しい計算方法に慣れる必要があるからです。私たちは長年、筆算式の考え方に慣れ親しんでいるため、数字をイメージで捉えるという感覚を掴むまでに時間がかかります。
なぜ難しく感じるのか
- 筆算の癖が抜けない:繰り上がりや繰り下がりがあると、無意識に筆算で考えようとしてしまい、イメージが途切れてしまいます。
- イメージの維持が困難:最初は頭の中にそろばんを思い浮かべられても、計算が複雑になるとイメージが消えてしまうことがあります。
注意点
特に1桁や簡単な2桁の問題は筆算でも解けてしまうため、「できている」と錯覚しがちです。しかし、桁数が増えたり、表示スピードが速くなったりすると、途端に対応できなくなります。これが、多くの未経験者が挫折しやすいポイントです。
しかし、これはあくまで初期段階の話です。人間の脳は順応性が高く、繰り返しトレーニングすることで新しい回路が作られていきます。最初はできなくて当たり前と捉え、根気強く続けることが何よりも大切です。
練習しても意味ないという噂の真相

インターネット上では「フラッシュ暗算は意味ない」という意見を見かけることもありますが、これはいくつかの誤解に基づいているケースがほとんどです。
フラッシュ暗算の練習は、正しく行えば多くのメリットがあり、決して無駄にはなりません。意味がないと感じてしまう背景には、主に以下の3つの理由が考えられます。
1. 成果が出る前にやめてしまった
そろばん式暗算の習得には時間がかかります。数週間や数ヶ月で劇的な変化が現れるものではなく、脳に新しい計算方法が定着する前に諦めてしまうと「やっても意味がなかった」という結論になりがちです。
2. 学習方法が合っていなかった
ただやみくもにアプリを操作するだけでは、効率的にスキルは身につきません。自分のレベルに合わない難易度で挑戦し続けたり、基礎をおろそかにしたりすると、成長が感じられずモチベーションが低下してしまいます。
3. 目的が計算力向上のみになっている
フラッシュ暗算の本当の価値は、単に計算が速くなることだけではありません。練習を通じて得られる集中力、記憶力、情報処理能力の向上といった副次的な効果に気づいていない場合、「電卓があるから意味ない」という短絡的な考えに陥りやすいのです。
これらの理由から、「意味ない」のではなく、「効果を実感できる段階まで到達できなかった」というのが実情に近いと言えるでしょう。目的意識と正しいアプローチを持って臨めば、その効果は十分に期待できます。

そろばんありの経験者との大きな違い
そろばん未経験者と経験者の間には、スタートラインにおいて明確な違いが存在します。その最も大きな違いは、「頭の中にそろばんの盤面が浮かぶかどうか」です。
そろばん経験者は、数字を見た瞬間に、それをそろばんの珠の配置として自動的に変換する能力が備わっています。これは長年の訓練によって培われた、半ば無意識のスキルです。
一方で、未経験者はまず「そろばんを頭に思い浮かべる」というトレーニングから始めなければなりません。このイメージング能力を構築するフェーズが、経験者にはない、未経験者特有のステップとなります。
項目 | そろばん経験者 | そろばん未経験者 |
---|---|---|
計算プロセス | 数字 → 珠のイメージ(自動) → 計算 | 数字 → そろばんを想起 → 珠のイメージ → 計算 |
最初の課題 | 暗算のスピードと精度を上げる | そろばんを正確にイメージする能力を養う |
学習の進捗 | 比較的スムーズに上達しやすい | 最初のイメージ定着に時間がかかる場合がある |
このように言うと、経験者が圧倒的に有利に聞こえるかもしれません。しかし、これはあくまでスタート時点での差です。未経験者であっても、正しい手順で練習を積めば、経験者に追いつき、追い越すことも十分に可能です。重要なのは、この違いを理解した上で、自分に必要なトレーニングを焦らずに行うことです。
フラッシュ暗算をそろばん未経験から習得するコツ

- まずは基本のそろばんやり方を理解
- そろばん式暗算を頭の中で行うコツ
- 無料アプリの活用とレベル設定
- そろばんが得意な子の特徴に学ぶ
- 3級レベルまで何年かかる?
- フラッシュ暗算はそろばん未経験でも習得可能
まずは基本のそろばんやり方を理解
そろばん未経験者がフラッシュ暗算を習得するための第一歩は、そろばんの基本的な仕組みと珠の動かし方(やり方)を理解することです。頭の中でそろばんを動かすためには、その原型となる物理的なそろばんのルールを知っておく必要があります。
全てを完璧にマスターする必要はありませんが、最低限、以下の3つのポイントは押さえておきましょう。
1. 珠の数え方
そろばんは、真ん中の梁(はり)を境に、上段に1つだけある珠が「五珠(ごだま)」で5を表し、下段に4つある珠が「一珠(いちだま)」でそれぞれ1を表すことを覚えます。梁に珠がついている状態が「数字が入っている」状態です。
2. 珠の置き方(足し算の基本)
例えば「3」を置くときは一珠を3つ梁につけ、「8」を置くときは五珠1つと一珠3つを同時につける、という基本的な操作を理解します。これが全ての計算の基礎となります。
3. 珠のはらい方(引き算の基本)
足し算の逆で、梁についている珠を離すことで引き算を行います。特に「繰り下がり」の際の珠の動き(例えば、10の桁から1つ珠をはらい、1の桁に珠を戻す動き)のパターンを理解することが重要です。
これらの基本は、ウェブサイトの解説記事や動画、またはそろばん学習アプリの入門モードなどで手軽に学ぶことができます。まずは実際に珠を動かすイメージを掴むことを目標に、遊び感覚で触れてみるのがおすすめです。
そろばん式暗算を頭の中で行うコツ
そろばんの基本を理解したら、次はいよいよそれを頭の中で実践する「そろばん式暗算」のトレーニングに移ります。これがフラッシュ暗算習得の核となる部分です。最初は難しく感じますが、いくつかのコツを意識することで、イメージが定着しやすくなります。
1. まずは目を閉じてイメージする
視覚からの余計な情報を遮断するために、目を閉じて頭の中にそろばんを思い浮かべる練習から始めましょう。最初は盤面全体ではなく、1桁や2桁分だけでも構いません。クリアなそろばんをイメージできるまで繰り返します。
2. 指を動かしてみる(エアそろばん)
頭の中だけで操作するのが難しい場合は、実際に目の前で指を動かして、見えないそろばん(エアそろばん)を弾くようにしてみましょう。体の動きと頭の中のイメージが連動することで、計算の感覚が掴みやすくなります。これは多くの上級者が実践している方法です。
3. 簡単な計算から始める
いきなり複雑な計算をする必要はありません。「1+2」「5+3」といった、繰り上がりのない簡単な一桁の足し算から始め、頭の中の珠が正しく動く感覚を養います。正解することよりも、珠の動きを正確にイメージできることを重視してください。
イメージ定着のポイント
計算の答えを「数字」で覚えるのではなく、計算後の「珠の配置(形)」で覚えるように意識することが重要です。例えば「5+2=7」なら、答えの「7」という数字ではなく、「五珠1つと一珠2つが梁にくっついている形」を思い浮かべるようにします。このイメージの蓄積が、高速処理能力に繋がります。
無料アプリの活用とレベル設定

そろばん式暗算のイメージがある程度できるようになったら、無料の練習アプリを積極的に活用しましょう。アプリは、ゲーム感覚で楽しくトレーニングを継続できるだけでなく、自分の成長を客観的に測る上で非常に有効なツールです。
アプリを選ぶ際は、以下の機能があるかを確認すると良いでしょう。
- レベル設定機能:桁数、口数(表示される数字の個数)、表示スピードを細かく調整できるか。
- 記録機能:正答率やクリアタイムなどを記録し、上達度を確認できるか。
そして、最も重要なのが「自分に合ったレベル設定で練習する」ことです。
陥りやすい失敗:いきなり高難易度で挑戦する
早く上達したいという気持ちから、最初から表示スピードを速くしたり、桁数を多くしたりするのは逆効果です。イメージが追いつかずに挫折する原因となります。
大切なのは、「少し余裕を持って、8割以上正解できる」レベルで繰り返し練習し、成功体験を積み重ねることです。そのレベルが楽にクリアできるようになったら、少しだけスピードを上げたり、口数を増やしたりして、徐々に負荷を上げていきましょう。
アプリを使えば、このような段階的なレベルアップが容易に行えます。今日の自分のコンディションに合わせて設定を微調整しながら、無理なく続けることが上達への一番の近道です。
そろばんが得意な子の特徴に学ぶ
どのようなスキルを学ぶ上でも、上達が早い人には共通する特徴があります。フラッシュ暗算の練習に行き詰まったときは、そろばんが得意な子の特徴を参考に、自分の学習姿勢を見直してみるのも一つの手です。
一般的に、そろばんが上達する子には以下のような特徴が見られます。
そろばんが上達する子の5つの特徴
- 素直さ:先生やお手本のやり方を、まずは素直に受け入れて実践できる。
- 反復力:地味な基礎練習でも、その重要性を理解し、飽きずに何度も繰り返せる。
- 興味・関心:計算や数字そのものに興味があり、楽しんで取り組むことができる。
- 目標意識:「次の級に合格したい」「友達より速くなりたい」といった具体的な目標を持っている。
- 集中力:短時間でも、目の前の課題に深く集中する能力がある。
これらは生まれ持った才能だけではありません。多くは、練習を通じて後天的に身につけられる姿勢や習慣です。
例えば、練習がマンネリ化してきたら、具体的な目標(アプリで新しいステージをクリアする、など)を設定してみたり、時間を区切って集中して取り組む習慣をつけたりするなど、これらの特徴を意識的に真似てみることで、学習の質が向上し、上達の壁を乗り越えるきっかけになるかもしれません。

3級レベルまで何年かかる?
「フラッシュ暗算を始めて、ある程度のレベルに達するまで、一体何年かかるのだろう?」というのは、学習を始める前に誰もが抱く疑問です。
一つの目安として、珠算検定における「暗算3級」が挙げられます。このレベルは、2〜3桁の足し算や、簡単な掛け算・割り算の暗算能力が求められ、日常生活でも役立つ実践的なスキルと言えます。
伝統的なそろばん教室に通って暗算3級レベルに到達するまでの期間は、一般的に4年〜5年かかると言われています。これは、物理的なそろばんの練習と並行して、徐々に暗算能力を養っていくためです。
注意:個人差が大きい
これはあくまで一般的な目安であり、練習頻度や開始年齢、個人の適性によって習得期間は大きく変動します。週に1回の練習と毎日練習するのとでは、進捗に差が出るのは当然です。重要なのは、他人と比較せず、自分のペースで継続することです。
一方で、前述の「そろタッチ」のような新しい学習法では、より短期間での習得を目指しており、約2年で暗算上級者レベル(暗算検定1級以上)に到達するカリキュラムが組まれているとされています。
どちらの方法を選ぶにせよ、フラッシュ暗算の習得は一朝一夕にはいかない、長期的な取り組みであると認識しておくことが大切です。焦らず、コツコツと続けることが、確実なスキルアップに繋がります。
フラッシュ暗算はそろばん未経験でも習得可能

これまでの内容を総括すると、フラッシュ暗算はそろばん未経験からでも十分に習得可能です。
確かに、そろばん経験者と比べると、最初に「頭の中にそろばんをイメージする」という壁を乗り越える必要があります。また、習得には決して短くない時間と、地道な反復練習が求められます。しかし、その壁を乗り越えれば、計算能力だけでなく、集中力や記憶力といった多くの能力を向上させることができます。
- フラッシュ暗算の核はそろばん式暗算というイメージ計算である
- 物理的なそろばん経験は必須ではなくアプリなどでも仕組みは学べる
- 最初のイメージ定着が難関だが継続的な練習で誰でも克服できる可能性がある
- 意味ないと感じるのは効果が出る前に諦めてしまうケースがほとんど
- 経験者との差は頭の中のそろばんの有無だが後から構築可能
- まずはそろばんの基本ルールを理解することがスタートライン
- 目を閉じて指を動かす「エアそろばん」はイメージ定着に効果的
- 無料アプリを活用する際は簡単なレベル設定で成功体験を積むことが重要
- 上達が早い人の「素直さ」や「目標意識」を真似るのも有効
- – 伝統的な方法では暗算3級まで4~5年が目安とされる –
- 新しい学習法ではより短期間での習得も目指せる –
- 習得期間には個人差があり焦りは禁物 –
- 最も大切なのは自分に合った方法で楽しみながら継続すること –
- 未経験というハンデは正しいアプローチで十分にカバーできる –
- 挑戦する価値は十分にあり計算が得意という自信にも繋がる
重要なのは、未経験であることをハンデと捉えすぎず、正しいステップを踏んで着実に練習を続けることです。この記事で紹介したコツや練習法を参考に、ぜひフラッシュ暗算の世界に挑戦してみてください。
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